ファシリテーションが会議・組織・社会を変える!~第8回・会議における「土俵のつくりかた」を極める!(その2)
▼タイムテーブルを書き出すことで時間を意識する!
次に「時間設計」ですが、審議の順番については、すでに議案づくりの段階でおおむねプランニングされていますので、さほど頭を悩ませる必要はないでしょう。ただし、所定の時間内に終わらせるためには、一つひとつの議題についてどのくらいの時間を割り当てることができるのか、ざっくりとイメージしておく必要があります。
このとき、その時間配分イメージを、進行係や事務方の頭の中だけにとどめておくのは実にもったいないことです。せっかく「可視化ツール」があるのですから、メンバー全員の目に見えるところに「タイムテーブル」として書き出しておきましょう。そして、会議の冒頭で、扱うテーマにヌケ・モレはないかを確認するとともに、それぞれの議題に割くことができる時間を、全員の共有イメージとしておくのです。
なお、この「タイムテーブル」が活躍するのは、会議の冒頭だけではありません。個々の議題について審議が終わるたびに、「では、この件についてはよろしいですね?」と全員に確認を取りながら、一つひとつ赤線などで消していくようにします。そうすれば、「前に進んでいる感」を演出できますし、そのつど「時間のズレ具合」を確認できるため、スムーズな進行が可能となるのです。
余談ですが、会議は必ず定刻に開始するようにしましょう。NPOの役員は、他にもいろいろなお役目を持っている方が多いため、ともすると定刻にメンバーが揃わず、開始がずるずると遅れてしまう傾向があります。しかし、たとえばX会議にAさんが遅れ、定刻に始まらなかったために終了が後にずれ込んでしまうと、同会議に参加していたBさんが次に参加すべきY会議に遅れ……と、まるで雪崩のように影響が拡がってしまうのです。定刻に集まっているメンバーの、そして他の団体の大切な時間を奪わないためにも、「開始時刻厳守」という組織風土を築いていきたいものです。(つづく)
徳田 太郎(とくだ・たろう) 株式会社ソノリテ パートナー・コンサルタント
1972年、茨城県生まれ。修士(公共政策学)。
2003年にファシリテーターとして独立、地域づくりや市民活動、医療や福祉などの領域を中心に活動を続ける。
NPO法人日本ファシリテーション協会では事務局長、会長、災害復興支援室長を経て現在はフェロー。その他、茨城NPOセンター・コモンズ理事、ウニベルシタスつくば代表幹事などを歴任。
現在、法政大学大学院・法政大学兼任講師、東邦大学・文京学院大学非常勤講師、Be-Nature Schoolファシリテーション講座講師などを務める。
主な著書に『ソーシャル・ファシリテーション:「ともに社会をつくる関係」を育む技法』(鈴木まり子との共著、北樹出版、2021年)。
*本ブログは、『ファシリテーションが会議・組織・社会を変える』(茨城NPOセンター・コモンズ、2013年)に加筆修正を行ったものです。