NPO法人会計基準策定10周年

会計基準、聞きなれない言葉かもしれませんがご存知の方はどれくらいおられるでしょうか。

ググってみるとこれがまたなかなか難しい。これ、という説明を見つけられませんでした。

財務諸表を作成するときのルール、という理解で進めていきたいと思います。

NPO法ができたときに、非営利組織、という観点から、会計基準は企業会計ではなく、公益法人会計基準を採用すべきだ、と考える専門家(税理士、公認会計士)が多かったように記憶しています。

でも、実際にNPOが活動を進めていくと、公益法人(いわゆる財団、社団)などとは全く運営方針が異なることに気が付きます。公益法人は、年度当初に決められた予算が絶対であり、むしろその予算を消化しなければならない、というような側面があります。補助金などが収益の多くを占めることから、年度予算が決まっていることのほうが多いです。

しかしNPO法人は、収入源もほぼ、不確定なものばかりです。寄付金はもちろん、助成金や補助金でさえ年度当初に確実なものは少ない法人のほうがほとんどです。あるいは、年度途中に高額な寄付をいただけることが決まり、そこから事業計画を大きく変更することも珍しくはないでしょう。

そこで、NPO活動を促進するためには、むしろ企業会計に近いものが必要ではないか、しかし一方で寄付金や国などからの支援金も使うことから透明性も必要だ、ということでNPO法人会計基準を作ろう、という動きが始まりました。全国のNPO支援センターと、NPOを支援する税理士、会計士などの専門家の皆さんを中心に、NPO法人会計基準協議会が立ち上がり、長い時間をかけて議論を重ね、市民からの声を取り入れ、NPO法人の活動を理解してもらうために必要な要素を盛り込んだ、NPOのための会計基準が策定されました。それが2010年のことです。当時、NPO法人会計基準事務局を担っていたシーズ・市民活動を支える制度をつくる会に私も所属していたので、みなさんのご尽力を目の当たりにし、感慨深く10周年を振り返りました。

普通の会計基準は財務省からおしつけられたもののようですが、NPO法人会計基準は、民間が作った基準です、それはNPOがそもそも監督官庁に管理されるものではなく、市民の自由なボランティア活動を促進するためのものだからです。

その原動力となったのが、今は亡き、赤塚和俊さん(公認会計士)です。私も個人的に大変お世話になった方です。赤塚さんがいたからこそ、NPO法が成立したし、NPO法人会計基準が策定され、それまでになかった財務諸表「活動計算書」が採用されました。

赤塚さんの話は、別の機会にあらためて記したいと思います。

NPO法人会計基準策定10周年を記念して、先日、オンラインで ~歴史秘話 基準誕生の頃の話を聴く夕べ~ が開催されました。

アーカイブや、関係者のメッセージ動画は下記サイトからご覧になれます。

http://www.npokaikeikijun.jp/event/10th-aniv-event/

歴史秘話っていうと、おじさん、おばさんが思い出話に浸っているだけだろう?と思われてしまうかもしれませんが、実は本当に、本当にこの会計基準策定のプロセスは、まさに市民活動が市民権を得ていくダイナミックなうねりでした。

ぜひ、これからNPOに携わる方にも関心を寄せていただき、そしてこの会計基準を育てていくために力を合わせていただけたらと思います。

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