資金はちゃんと使われるのか(信頼性の担保)
寄付をするときのハードルのひとつが、本当に大事なお金をきちんと管理して必要なところに使ってもらえるのか。
寄付と言って集めたお金が役員報酬や豪華な車、立派なオフィスの費用になっていないか。
平たい言葉で言ってしまえば、大事なお金を託すのに、だまされていないかという猜疑心を払拭する必要があります。
認定NPO法人世界の子どもにワクチンを日本委員会のころの経験をひとつご紹介します。
ある日、福岡ソフトバンクホークス球団事務所からメールが入ってきました。
和田毅投手が、1級投げるごとに寄付をするようなしくみを考えたい、ワクチンにしてほしい、
受け取っていただけますか?という趣旨だったと思います。
寄付をさせていただけますか?という謙虚な姿勢に、私たちのほうが学ばせていただくことばかりでした。
ソフトバンクホークスの営業担当の木下さんが、当時、霞が関の古い雑居ビルの片隅にオフィスを構えていた私たちを訪ねてこられ、細川佳代子代表やブーン事務局長、学生スタッフたちとミャンマーの話などをし、やっぱりこうですよね~和田の想いをぜひ託したい、と言っていただきました。こうして和田投手とのパートナーシップが始まり、今も継続して、1級投げるごとにワクチンを贈る活動をしてくださっています。
このAC広告のポスターやCM撮影には、私も立ち会わせていただきました。懐かしい思い出です。
https://www.jcv-jp.org/news/20191025
さてそんな木下さんから後で聞いた話があります。支援先を決めるにあたって実は他にも財団などいくつかのオフィスを訪ねて支援の相談をされていたようなんです。あまりに立派なビルに大勢のスタッフさんがいるところだと、本当に寄付を必要としているのか?という気持ちになったとのことでした。また支援先国の話を聞いて、ここは本物だ、と思ってくださったようです。
もちろん、NPOだからいかにも貧しいたたずまいにしないといけない、ということではありません。だけど、必要以上に立派な設備、人材がいるところでは、支援は必要ないと思われてしまうこともあります。
一方、オフィスもなく問い合わせをしてもいつも通じない電話だったらどうでしょうか。最近ではメールでのお問合せが増えていると思いますが、いつまでたっても返事ひとつないのでは、やっぱり、私の大事なお金を預けてもいいか不安になる気持ちもわかりますよね。
ホームページでは、活動だけでなく法人概要(誰がやっているのか)と収支報告(活動計算書)も掲載することが大事です。
最近では、企業さんからのご寄付やご協賛をいただく機会も増えています。企業担当者からすれば、決算書を見て人件費がまったくない団体に、数千万円の寄付が集まっているとかえって不信感を持たれます。資金管理や情報発信はちゃんとしてくれるんだろうかと。
ファンドレイジングをするときには、その団体のありのままの姿を正しく発信することが大事です。
立派なオフィスや恰好をつける必要はありません、支援者や支援先国の人々に真摯に向き合っているかどうか。それが信頼につながると思います。
信頼性をどのように担保できるか、今一度考えてみてください。