「民主主義をあきらめない」熟議民主主義研究で博士号 ~徳田太郎さん

やさしいほうの世界をつくる人々。今回は、ソノリテ設立当初からのパートナーコンサルタント、徳田太郎さんをご紹介します。徳田さんとはこれまで、様々なNPOのコンセプト会議、みらい会議、行政が企画するまちづくり会議などのファシリテーションに一緒に取り組んできました。

ファシリテーターとしての徳田さん

徳田さんとの出会いのきっかけは、茨城NPOセンター・コモンズで同じ時期に理事を拝命したこと。それから、いくつかのプロジェクトをご一緒し、ソノリテサミットなどのイベントを手伝っていただいたりしてきました。20年弱のおつきあいのなかで、徳田さんがファシリテーションをするときにいつも大切にされているなと気づいたことがあります。そのいくつかを上げてみると…。

まず、会議の目的を明確にし、その場にいる人すべてが何らかの理由で差別・排除されないように配慮をした場づくりをされていること。たとえば情報の格差とか、物理的に排除されるようなことのないように。(スクリーンが見えない、あるいは声が聞こえにくい人がいないか。いたらちゃんと見える・聞こえるよう対策するなど)

次に、声の大きい人、ほうっておいてもしゃべり倒してしまうような人にその場を支配されないように、話したいと思ったら話せるような雰囲気づくりと「間」を大切にされていること。

会議には暗礁に乗り上げ、時間内で結論が出ないようなこともあると思いますが、「はい、時間切れ~」とならないように、途中で軌道修正して、時間どおりにちゃんと終われるようにすること。それは、お互いの時間を奪わないように、という配慮だと思います。

なぜ政治学で博士号?

実は先日、徳田さんが法政大学大学院政治学研究科で「博士号」を取得されたことを記念して、つくば市で開催されたトークイベントに参加してきました。

イベントでは、徳田さんがなぜ、社会人になってからアイルランド留学をすることになったのか、ファシリテーションの専門家である徳田さんがなぜ政治学を専攻し、博士論文を書き上げることができたのか、大学院での研究の日々を整理されたスライドを用いたプレゼン(?!)がありました。

これまでファシリテーションの場で徳田さんのスタンスを感じ取ってきたところに、今回のイベントで博士号の研究テーマや内容をうかがって合点がいきました。すべては「民主主義をあきらめない」ための行動なんだ、ということです。言いかえると、政治に対する怒り、市民に寄り添っていない、市民の声を聴いていない政治への挑戦なんだと思います。

そんな徳田さんが、このたび、政治学の博士号を取得されたということは、我々市民社会を強くしていくために活動しているソノリテにとっても大変心強いことです。熱意だけでなく、学術的な裏付けをお持ちの専門家がパートナーコンサルタントとしてご一緒いただける。こんなにうれしいことはありません。

「むすびつくば」 始動

今年、徳田さんの挑戦はこんな形でも動き始めました。
それは、徳田さんが主宰するウニベルシタスつくばの「つくば市民大学」と、NPO法人リヴォルヴ学校教育研究所が運営するフリースクール「ライズ学園」のコラボレーションである「むすびつくば」です。

フリースクール×市民大学。こどもたちと様々な世代・多様な個性がふわっと“むすびつく”場で、つくばエクスプレスのつくば駅すぐ、中央広場に隣接したつくばセンタービル 1Fに2024年4月、オープンしました。

そのなかには、小さな私設図書館「リブラリウム」が設けられています。本棚を一箱借りた人が、好きな本・読んでほしい本を並べるしくみで、情報や知識だけでなく、みんなの思いが集まる、小さな「民設・民営の公共図書館」。実はソノリテも参加しています。

民主主義をあきらめない一歩となる、「むすびつくば」。ソノリテはこれからも応援していきたいと思います。

諸先輩方を差し置いて僭越ながら、徳田さんのお祝いと「むすびつくば」のますますの発展を祈念して乾杯!

リヴォルヴ学校教育研究所の松井さん。実は松井さんが大学生で学生団体ぐっぴーの活動をしていた頃からのおつきあい。県内のNPOの先駆け的存在に新卒で就職し20年以上になります。うれしい再会。

リブラリウムのソノリテコーナー。(写真中央の6つの箱の左下) 神山関係の本やドラッカーの本などを置いています。

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▼むすびつくば https://www.musubitsukuba.com/

▼NPO法人リヴォルヴ学校教育研究所  (ライズ学園を運営)       https://rise.gr.jp/

▼ウニベルシタスつくば(市民大学とリブラリウムを運営)https://note.com/ut298