また寄付をしたいと思えるか(報告と御礼)
いただいたご寄付を、いつまでも使わないでためておいたり、違う用途に使ってしまうと二度と寄付したくない、と思われてしまいます。一方で、「貴重なご寄付でこんなことが達成できました」「本当にありがとうございました」という感謝が伝わるととってもいい気持ちになり、また寄付をしたいと思ってもらえます。寄付が盛んなアメリカでは、1回の寄付に対して7回御礼をする、と言われています。寄付の報告と御礼について、私の経験から一例をご紹介します。
また寄付をしたいと思うポイントを3つ
1、寄付がしやすいか
寄付の方法について、コロナの影響もあり加速的にオンラインからの寄付が普及してきましたが、おそらくまだ主流は振込用紙ではないでしょうか。会費や寄付を振込していただく際に郵便振込用紙を送っている団体は多いと思います。
もし、すでに会員や寄付者であってお名前、ご住所がわかっている方であれば、振込用紙に印字をして送っていますか?
請求書みたいで厚かましい、何かを買ってもらったわけじゃないんだからそこまですると嫌らしい。もしくは技術的に振込用紙に印字する方法がわからない、等の理由で印字をしていない場合もあるかもしれません。
しかし、受け取った人にとってはどうでしょうか?もし私が寄付をしたい、次に郵便局に行くときについでに支払いたい、と思ったものの、名前、住所を書き込まなければならないとしたら、やめてしまうかもしれません。
私たちは、時々DMをするにあたってテストケースを行います。印字した振込用紙と印字していない振込用紙を送ってどちらのリターンが多かったか。印字してあったほうが多かったことは明らかです。もし、嫌らしいとおもわれる場合は、「お手間を省くためにお名前、ご住所を印字させていただきました、いつでも結構ですので次の機会にお使いください」などを添えることで心遣いも伝わるのではないでしょうか。
2、寄付が役に立っている実感を持てるか
その寄付が何に役立つのか、たとえば、世界の子どもにワクチンを日本委員会の場合は、一人分のワクチンが20円です。1000円を寄付していただくと50人の子どもにポリオワクチンをプレゼントできます。(厳密には経費が含まれますので100%なわけはないのですが)
では、その50人は誰ですか?もちろん、私の寄付がこの子に使われた、ということまではわかりません、しかし、たとえばミャンマーの何年何月に行った全国一斉予防接種デーでどこの地域の子どもに接種した、ということは報告ができます。
そして、ミャンマーのお母さんたちや保健師さんたちからの御礼のメッセージが届いたらどうでしょうか?
さらには、実際に予防接種の現場にドナーツアーで行けるとしたらどうでしょうか?
ミャンマーの保健省と一緒に行っていた全国一斉予防接種キャンペーン(途上国では予防接種を普及させることは大変難しく、様々な工夫がなされています)に関わっている方から、本当に日本のみなさんからのご寄付に感謝の言葉をいただきます。
2008年に起こったサイクロン被災地を訪問した際に、JCVのロゴマークをみて、現地の方が駆け寄ってきてくれました。
被災して家も何もかも流されたが、JCVのロゴマークがついたバッグに食料や子どもたちの文具が入ったものを受け取った。本当にありがとう、と。私たちも本当にうれしかったです。
寄付者に、リアリティを伝えることができるのは、NPO・NGOの方たちの仕事です。
3、金額の大小で態度が違っていないか?
寄付は、裕福な人が貧しい人にするほどこしでしょうか?
私は違うと思います、お互い様のキャッチボールです。
たとえ金額が小さくても、いま自分ができることを支援することは、自分自身の喜びにつながります。
一方、企業や著名人の方から高額な寄付をいただくこともあります。それもありがたいご寄付です。
でも、金額によって感謝を伝える態度が変わっていたらどうでしょうか?
ワクチン支援では、郵便振込用紙に年金生活のおばあちゃんが、2か月に1回、年金を引出にいくときに必ず1000円を振り込んでくれる方がいました。わずかですが子どもたちの役に立ててください。また次回も寄付ができることを目標に頑張って生きています。
こんなメッセージが書かれています。
この1000円のご寄付の重さを、大切にミャンマーの子どもたちに届けなければならない、そう思いました。
そして、その想いに共感してくれたのが、前回ご紹介した和田毅投手(福岡ソフトバンクホークス)です。
自分もひとりのボランティアです、ミャンマーのことを教えてください、そういう姿勢で活動に参加いただいたので和田さんは今も自分自身の精進を続け、15年も支援を続けてくださっていると思います。
そんな活動だったら、自分もまた寄付をしたい、と思いますよね?
寄付者を繰り返し寄付していただけるコアなサポーターに育てていくのは、寄付を集める団体の大事な仕事だと思います。
そしてやりがいのある仕事です。