寄付者 何人めざしてしていますか?

NPO活動をしている方から、ファンドレイジングがしたいけどよくわからない、とか、とくに寄付を増やしたい、というご相談を受けることがあります。

そんなとき、いま寄付者は何名で今年の受取寄付金はいくらですか?とおたずねすると、わからない、という答えが返ってくることがよくあります。

寄付を増やしたいと思ったら

ある団体から、これまで積極的に寄付を集めた経験はほぼないけれどBokinchanを導入したいというご相談がありました。

お話をうかがってみると、福祉系の活動のためか積極的に寄付を集めたことがなく、ときどき利用者のご家族が寄付をもってきてくれることがあるが、年に数件であること。その都度領収書を作成して発行し、経理で管理しているものの、寄付者名簿として一覧になったものは作っていないとのことでした。でもこのようなケースは特別ではなく、よくあるのではないかと思います。

このように寄付を増やしたい、と思ったときに、まずは最初のステップとして、現状の寄付者数と寄付金額(平均)を把握することが大切です。そこから何名に増やしたいのか。受取寄付金の金額をいくらに増やしたいのか目標をたててみる。それをするためには、寄付者を管理するデータベースがとても重要な働きをしてくれます。

目標をたてることについて

もう少し角度を変えて、「目標をたてる」ことについて考えてみましょう。

もし、あなたの団体がNPO法人であれば、受け取った寄付金が税制優遇措置の対象となるためには「認定NPO法人」を取得しなければなりません。「認定」を取得するためには、PST(パブリックサポートテスト)という基準をクリアする必要があります。

これは、団体の総収入に対して、寄付が何パーセントかという相対値基準、または団体への寄付者が1年間で100名以上(3000円以上、お名前ご住所が明確であるなどの条件がありますが)であるという絶対値基準のどちらかをクリアすればよい、というものです。
PST以外にも団体の運営が適正かどうかのチェック基準がたくさんあります。

認定NPO法人についてこちらの記事もご紹介しています。ぜひご覧ください。

認定NPO法人の取得を目指しているので3000円以上のご寄付をお願いします、と寄付キャンペーンを展開して目標以上の寄付が集まったという事例は実は少なくありません。明確な目標に向かって頑張っていることが伝わると、応援してくれる方にも響くのだろうと思います。

何人に寄付をお願いするか

さて、ここで大事なことです。

100人の寄付を集めようと思ったら、何人の方にお願いをしなければならないか 考えたことはありますか?

100人にお願いをして、全員が寄付をしてくださればありがたいのですが、そうはいかないのが現実。100名の方全員のご関心にぴったりマッチしている活動かどうかという問題があります。また、タイミングやそれぞれのご事情もあるでしょう。昨今では多くのNPOが活躍していて、今月は他の団体に協力したからまた今度、と思われる場合もあるかもしれません。

ソノリテではこれまでのNPO運営サポートの経験から、ハウスドナー(団体と直接関係がある、または団体にすでに寄付をしたことがある名簿)に寄付のお願いをした場合のリターン率は10%くらい。そうではないリスト、たとえばSNSでつながっているだけとか、イベントでご挨拶をした、などの関係性のリストについては5%未満の方が反応をしてくださる見込みがあるとお伝えしています。

ということは100人集めたいと思ったら、少なくとも1000人には寄付のお願いをすることになりますね。この、ターゲットとなる1000人を潜在寄付者、と呼んでいます。

計画的に取り組むとは

 では次に検討すべきこととして、この潜在寄付者の方はどのような属性の方でしょうか?平均的な年齢はどれくらいでしょうか。

もし、20代などの若い世代が中心であれば、寄付の呼びかけも、寄付の手段も、WEBかスマホで完結するようなやり方がよいかもしれません。でも、スマホはほとんど使っていないような、比較的年齢層が高い方がメインのターゲットだとしたら、お願いの方法は昔ながらのダイレクトメール、振込用紙というやり方のほうが効果が出るかもしれません。

このように、寄付を集めようと思ったら、目標をたて、その目標を達成するための打ち手を考える必要があります。いくら集めるのか、一人あたりはおいくらくらいの寄付をしていただけるか想定し、何人くらいが寄付をしてくだされば達成するのか。そして、寄付者の属性に合わせて寄付のお願いをする方法を変えたり、個別にどうフォローするか。そういったことを計画して実行します。

そして、これらのことすべてを行うために、とても有効に働いてくれるのがデータベースなのです。

さらには、毎年、一定の寄付金額、寄付者数を確保するために、計画的に潜在寄付者を作りコミュニケーションを図り、タイムリーなお願いをする、というサイクルを繰り返していく必要があります。そういったことにもデータベースは不可欠です。

毎年どれくらい寄付をいただけるかわからない、大口寄付はあるけれど1回きりかもしれないし、見通しを立てづらい、とお考えの方もおられると思います。
けれども、ここでお話ししたように計画をたてて取り組めば、おのずと目標寄付金を集められるものです。私も、世界の子どもにワクチンを日本委員会で募金活動に取り組んでいたときに、5年間で5倍の寄付金を集めるという目標をたて、それに向かって数々の戦略を立て取り組んできました。3年で3倍になったところで、団体を離れることになってしまいましたが、成功経験も失敗経験も含めて、とても貴重な経験をさせていただいたと思っています。この時の経験は、別途ブログでご紹介していきたいと思います。

寄付の計画を立てるときにぜひ取り入れていただきたいのが、クレジットカードや銀行口座引き落としによるマンスリー募金の導入です。1か月1000円の寄付者さまも、1年間で12000円のご寄付をいただくことになります。100人マンスリーの方がいれば、毎年120万円のご寄付が見込める、ということになります。

やれば必ず結果は出るのがファンドレイジング

事務局の視点で、寄付者をどうやって増やせばいいか、悩んでいる方も多いと思いますが、計画的に実行することで点がつながり、寄付も予測ができるようになります。

いま、ファンドレイジングの計画がない、ファンドレイジングをしなければならないけれども何から手を付けたらいいかわからない、という方、ご安心ください。やれば必ず結果が出るのがファンドレイジングです。もし、ファンドレイジングをしても結果が出ないと落ち込んでいる方は、やり方に何か原因がないか検証してみましょう。なにかが間違っていたのかもしれません。計画的に取り組んでいれば、どのプロセスに課題があるのか、さかのぼって検証もできるはず。それでもなお、うまくいかない場合は、活動そのものが時代のニーズに即しているのか、考える必要があるといえるかもしれません。

 

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ソノリテではデータベースを活用したファンドレイジングの企画づくりに合わせた、システム導入と運用をサポートしています。

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