NPO法人の総会シーズンにあたり

NPO法人の事業年度は4月から3月に設定している団体が圧倒的に多いと思います。

ご存知だとは思いますが、事業年度はいつでも定款で設定ができます。3月期末にする団体が多いのは、そうしなければならないと思い込んでいる団体も多いような気がしますが、行政などから助成金や補助金を受けていると3月で締めて会計報告をしなければならないので合わせておきたいという団体も多い気がします。(これからNPOを作られるかたはぜひ3月以外で事業年度を設定してくださいね)

さて、事業年度末が3月の場合、2か月以内に法人税の申告納税が必要です。そのためには決算をする必要があり、多くの法人では会計報告(決算)は総会の議決事項にしていると思いますので、3月末の事業年度の会計決算を5月のある時期までに行い、理事会で総会議案を決定し社員総会を開く、NPO法人にとって一番忙しい時期になります。

一方、NPO法では事業年度終了後3か月以内に総会を開催し、所轄庁へ事業報告、決算報告等を提出することが定められています。納税が無かったり、納税はすませておいて総会は6月中に開催する団体もあると思います。それでも、1か月の猶予ができただけですね。つまり3月期末の団体にとって、6月までに行わなければならない法人運営の重要な仕事がたくさんある、ということです。

まず、このことを認識して年間スケジュールを立てていただきたいと思います。総会は突然やってくるわけではなく、1年前からやらなければならないことは決まっています。逆算をして、決算はいつまでに行い、理事会、総会の日程を決める、会員さんへの案内を出す日程、議案書の発送(メールでいいのか、郵送なのか)、会費の請求も同じタイミングでする団体も多いと思います。

さて、少し硬い話が続きましたが、今回は雑記帳として最近の江崎の様子をご紹介したいと思い、ブログを書いています。

私事ですが、5月10日に母が他界しました。81歳でした。昨年から持病の心臓と喘息で少しつらそうな日が続いたのですが、5月連休前には入院し、治療もうまくいき、退院する日が決まっていました。しかし残念ながら退院当日、病院で発作がおき、そのまま息を引き取りました。予想していなかったために、少し気持ちの整理をするのに時間がかかりましたが、今となってはこれ以上私たちに迷惑をかけたくない、長い入院や施設の生活はしたくない、といっていた母の希望どおりの最期だったのかな、と思って受け止めています。

そんなこともあり、5月にお休みをさせていただいている間に、私が役員をしている団体、会員としてお手伝いしている団体、クライアントの団体等から決算や総会に向けてのご相談が入ってきていたのですが、対応が遅れがちとなりご迷惑をおかけしました。特に今年はいくつかの団体から決算作業がうまくいかずに困っているという駆け込みの相談が多くありました。原因のひとつは、月締め決算をしていないことです。年度末に会計入力を一気に行い、なんとか財務諸表を作って帳尻を合わせようという傾向が強く、よく見ていくと現預金があっていない、未払いや未収があっていない、預り金や税金の計上が正しくされていない、というケースが見受けられます。

件数が少ないから、雇用している人数が少ないから、あるいは期中は活動に追われてしまって会計まで見る余裕がない、という声が聞かれます。中には、お金に余裕があるかわからなかったので自身の報酬は4か月受け取っていない(未払いにしている)という理事長も。でも、実際には十分な繰越金が残る決算となったので、必要な費用は使わないといけないよね、という話をしています。

少なくとも前月分の会計を翌月中にはある程度の動きが入力できるように、普段から体制をとることで、この年度はじめの大変な時期に慌てることが少なくなります。

また、混乱した要因のひとつに、会計ソフトがNPO法人会計基準に対応していない、という問題もありました。NPO法人会計基準に準拠した会計ソフトはいくつかありますが、そうでなくても構わないのですが、「活動計算書」などの財務諸表を作るためには、会計基準を理解し、適切に会計処理をする必要があります。日頃から会計基準に即した運用をしていないと、決算だけ会計基準に合わせるということは、税理士や会計士の方でもかなり難しい作業になります。今回は、何人かの専門家の方に頼み込んで修正をお願いしたケースもありました。ぜひ、会計ソフトと、顧問の税理士や会計士の方の選び方は十分検討していただきたいと思います。

さらにある団体からは、総会が6月中に開けないというご相談がありました。支援先国の政情不安もありここ数年活動を休止しているのですがそれでもNPO法人として存続するためには所轄庁への3か月以内の報告書の提出は必須です。活動していないならばしていなかった、という報告で構わないので、それでも理事会、総会は開いて報告をしなければなりません。しかし、それも期日内にできない、会計の残高も不明、という状況では、NPO法人として存続することのリスクしかありません。7月に総会をするしかないかもしれませんが、今一度法人として活動を続けるのであれば、リスクを十分検討してほしいと思います。

総会シーズンを迎えると毎年思うことなのですが、毎月の事務、そして会計管理が重要なんですよね。ソノリテでは、会計入力や事務代行もお受けしていますが、そのためには団体とアウトソーシング先であるソノリテとの業務分担、業務フロー(お約束)をつくって、お互いに信頼して事務を行えるよう心掛けています。

運動は事務の堆積なり

市川房枝さんの言葉です。

新年度がスタートした今こそ、日頃の事務体制を見直し、運営責任を今一度しっかり意識をして活動をしていただきたいと思います。

*写真は2018年6月の神山町大粟山からの風景と、四国12番札所の焼山寺の写真です