神山でつなぐ食と農体験の取り組み~まちの食農教育 樋口明日香さん

ソノリテがサテライトオフィスを構えており、地域の皆さんに大変お世話になっている徳島県名西郡(みょうざいぐん)神山町。人口5,000人を切る、超高齢化、過疎化が進んでいる町です。
その一方で、豊かな自然と伝統文化を大事にする暮らし、そしてやったらえんちゃう?を後押ししてくれるお父さんたち、その魅力に誘われて多様な方たちが集まっている、何かに挑戦するには最初の一歩を踏み出しやすい土壌と文化のある町、だと私は感じています。

そんな神山町で活動するNPO法人まちの食農教育。ソノリテでは、2022年にNPO法人の立ち上げをサポートいたしました。
この度、代表理事の樋口明日香さんに、江崎がインタビューをするかたちで対談をさせていただきました。インタビューでは神山にきたきっかけ、NPOを立ち上げようと悩んだ日々、NPO法人になってからの活動、そしてこれからのビジョンなどを語ってくださっています。

もともと神奈川県で教員をされていた樋口さんは徳島県内のご出身で、神山町で食と農に関する地方創生戦略のひとつのプロジェクトに興味を持たれ、フードハブ・プロジェクトの食育スタッフとして神山にかかわることになります。
自然豊かな神山町。けれど、子どもたちは畑や田んぼに入って遊ぶ経験が日常的にあるわけではありません。そこで、毎日食べている食物はどんな場所で、どんなふうに育てられるのか、体に入るもののことをちゃんと知ることの大切さを子どもたちに伝えたい、 学校の先生方と相談しながら、学校だけでは難しいことをサポートできるような関わり方で子どもたちの体験活動を一緒に進めてきました。
今では、神山町内の小学校2校、中学校、神山校、まるごと高専の子どもたちと食農体験で関わる機会が持てています。(※ 食農教育=授業内プログラム、食農体験=課外の時間も含むという認識、保育所は未実施)

子どもたちはかわいいです、と話す樋口さん。田んぼに入って泥だらけになるという体験を1時間でもした子どもは、なんとなく見ていた風景を真正面から捉えられるようになる、というように意識の変化が起こる、と言います。インタビューをした1月24日は、神山では珍しく雪が降っていたそうですが、そんな天気の中で朝から野菜の収穫をし、採れたての野菜を「かま屋」の前の広場で直販をしたそうです。町の人たちが待っていてくれて、ほぼ完売とのこと。こういう体験を小学生のうちにすることの大切さ、豊かさを語ってくれています。

樋口さんの話で私も初めて聞いたことがあります。食育について、日本ではすでに制度は整っている。食育基本法があって、学校給食法があって、栄養教諭という制度もあり、食に関する学びの体制はできているのだそう。しかしながら、日常的に農業や環境のことを話せるような雰囲気にはまだなっていない。毎日食べるもののことを、もっと大きな視野でオープンにみんなが話せるようになりたい、という言葉、本当に大切なことだな、と思います。神山町の取り組みはその一例であり、でもリアリティのある実践例として全国に発信していくことによって、我々一人ひとりが大切なことを考え、欲しい未来をデザインしていく、そんなところにアプローチをしていくのがまちの食農教育の活動なのだ、と改めて理解しました。

そして、インタビューの中で、まだまだマンスリーサポーターを増やしていきたいけれど、お願いしますと自信をもって言えないんです、という率直な気持ちも話してくださいました。マンスリーサポーターを増やしたい、認定NPOを目指したい。計画では書かれていても実践の中でなかなか立ち上げたばかりのNPOが事業を進めていきながら、支援者も獲得していくのは難しいと思います。

Bokinchanデータベースぼきんとん)を活用して、これから支援者の拡大も一緒に取り組んでいきましょう。ソノリテはそのためにありますので、ぜひサポートさせていただきたいと思います。

樋口さんとのインタビューの様子は、FRJ2024のオンデマンドセッションでご覧いただけます。2月29日までにお申し込みいただくと、3月31日まで視聴ができます。FRJ2024は、ほかにも多くのファンドレイジングに関するセッションが用意されています、よろしければご覧ください。

※FRJ2024 オンデマンドセッションの視聴期間は終了しています。

2023年10月に開催された、school food forum 懇親会にて。写真撮影:生津 勝隆

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