24時間テレビのチャリティー募金の不祥事を考える

「愛は地球を救う」というキャッチフレーズのもと、人気アイドルが司会を務め、若い世代にチャリティーへの参加を呼び掛ける番組として誰もが知っている24時間テレビ。

2023年11月、この24時間テレビを通して集まった募金の一部を系列の放送局元幹部社員が着服していたという不祥事が発覚し報道されました。そして2024年2月1日、日本テレビチャリティー委員会は不正対策への取り組みを発表しました。

一連の報道を見ると、社員の犯罪を未然に防げなかった企業としての責任を問われ、再発防止策を発表したという、よくあると言っては乱暴ですが、不正な経理、着服による事件と同様に見受けられるかもしれません。しかし、今回の不祥事は、非営利組織に関わり、寄付文化を醸成し寄付のマーケットを拡大していこうとする我々にとっては大きなインパクトがありました。改めて寄付を集めるときの信頼性と透明性について考えてみたいと思います。

高い信頼性と透明性

24時間テレビは、真夜中も生放送で24時間を通してアイドルたちが出演する人気番組といっていいでしょう。1978年からスタートし、2023年には46回目を数えた長寿番組でもあります。

集まった寄付金は、福祉、環境、災害支援の3分野に使われ、公益財団法人である日本テレビチャリティー委員会により、希望者に税の優遇措置の対象となる領収書が発行されます。

テレビで寄付を呼びかけられ、公益法人として領収書の発行もしてもらえる。まず、寄付を受け付ける団体の「信頼性」としてはこれ以上のものはないというくらい高いと言っていいと思います。

「透明性」においても同様で、24時間テレビ内ではもちろん、それ以外でもチャリティー活動を報告する番組を放映し、WEBサイトでも報告するなど、集まった寄付が何に役立てられたか、発信はきちんとしていたといえるでしょう。WEBサイトに決算書も掲載されています。

匿名の寄付だからこそ

では、なぜ今回このような不祥事が起きてしまったのでしょうか。

報道によると、元幹部社員は、募金から200万円、その他の経費からも着服し、その額は合計1100万円にのぼるとのこと。そして10年にわたって繰り返し行われていたそうです。

そこから考えられることは、現金で受け取った寄付の管理はいかに難しいかということです。たとえ少額、1円玉募金であっても責任をもって預かり、管理をして活用、報告する必要があります。

皆さんも、チャリティーパーティやチャリティーイベントで募金箱を置いて寄付を呼びかけた経験があるのではありませんか?

募金箱は匿名の寄付だから、募金箱に入っているお金を移動する途中で誰かが盗んでしまっても、落としてしまっても発見されづらい。

今回は、現金の匿名募金が金庫にあり、それを銀行口座へ振り替える作業を元幹部社員がひとりで行っていたとのこと。金額を容易に変更できてしまうことは想像に難くありません。

募金にあるのは、お金の価値だけではない

もっと気になったのは、元幹部社員は、同時に経費も着服していた、という点です。

募金は元幹部社員にとっては経費と同じ、単なる目の前のお金だったのでしょうか。経費だから着服していいというわけではもちろんありません、でも、チャリティーを呼びかけて集めた、一時預かっているだけの募金に手を付けるということがどういうことか、この方は思い至らなかったのでしょうか。

金庫に入っていたお金は、貯金箱や空き瓶にたくさんつまった小銭だったかもしれません。お小遣いをコツコツためて持ってきた方、家族で話し合って役に立ててもらおうと出し合ったお金かもしれません。ふるさと納税のように控除が受けられるからという寄付であれば領収書も発行できるのに、こちらは匿名で寄付された善意の募金です。主催者がその善意を受け止めなければ、なかったことになってしまうかもしれないお金です。

私が、世界の子どもにワクチンを日本委員会(JCV)の事務局にいた際、全国のさまざまな店舗や学校などから募金箱の協力提案をいただき、連絡を取り合ってきました。

募金箱は、仲介してくださる協力者がいて、その先にいる本当に多くの不特定多数の方の善意を受け止める箱。そのひとり一人と連絡をとりあうことはできなくても、設置してくださっている方へ感謝状を送ったり、ポスターを掲示していただいたり、たまたま小銭を入れただけかもしれないけれど、温かい気持ちになっていただきたい、そして小さい思いやりが大きな支援になっていくことを実感していただきたい、と思って対応してきました。

募金箱を置いていただいているペンションにプライベートで泊まりに行ったこともあります。本当にあった、パンフレットも置いてくれているんだ、とうれしくなりました。

日本テレビの24時間テレビでは、全国31か所のキー局が募金箱設置団体にあたります。

ほとんどの方は、チャリティーの目的や意義を理解して参画されていたと思います。でも、どこかで「仕事だから」「何度もやってきたから」と機械的な処理になっていた面はなかったでしょうか。

募金に関わる全ての人へ

日本テレビチャリティー委員会は、弁護士さんなど専門家による再発防止策を出されました。

キャッシュレス決済の導入、資金移動のときは外部の輸送業者に依頼。

それも有効な手段でしょう。でも、私は、このチャリティー企画にかかわるすべての方に、募金を集めること、その募金で成し遂げたい活動のことをぜひとも理解していただきたいと思います。

そして、協力してくれた人の声をぜひ、聴いてほしいと思います。その人が募金をする理由が、必ずあります。

「愛は地球を救う」

そう信じられるように、そして日本に寄付文化を醸成させるために、募金活動に携わるすべての人がぜひ考えていただきたいと思います。

日本テレビチャリティー委員会の今後にも期待したいと思います。

募金箱の管理方法については、別の機会にご紹介しご一緒に考察を深めていきたいと思います。

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