NPOの信頼性を高めていくための挑戦 ~税理士・脇坂誠也さん~
NPOは、市民の自由なボランティア活動を促進するための組織であることは、これまで何度かブログでご紹介してきました。
自由なボランティア活動。この「自由な」というところがとても重要な法理念です。
では、「自由な」活動を行うためには、「責任」が伴う、ということについて考えたことはありますか?
NPOが市民の行う自由なボランティア活動を促進するための器だとすると、お金の使い方、活動の進捗などを広く世の中に知っていただき信頼していただく、という「責任」を伴います。また、行政や企業から補助金、助成金などをいただいて活動する場合は、行政や企業に対しても報告書を提出したり、現場を見てもらったりして活動の成果とともに団体の信頼性を高めていく責任があります。
そのときにとても大切な業務のひとつが会計税務です。今回は、NPO会計税務専門家ネットワークの脇坂誠也理事長をご紹介したいと思います。
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脇坂さんは、25歳のころ青年海外協力隊でコートジボワールへ派遣されました。しかし、「現地の人の役に立ちたい!」と思っていたのに、あまり役に立つことができなかったそうです。「人の役に立つには"役立ち力"が必要だ」ということを実感して、帰国後、お父様の職業であった税理士を目指します。32歳で税理士資格を取得されてからも、アフリカでの経験からどうしたら人の役に立てるのか葛藤の日々が続いていましたが、NPOの会計と税務に関わることで、青年海外協力隊の経験と税理士の仕事がつながったのだそうです。
私と脇坂さんとの出会いは、NPO会計税務専門家ネットワーク(アットプロ)の初代理事長の赤塚和俊さんからご紹介をいただいたのが最初だと思います。赤塚さんは、NPO法策定にかかわった方で、私が尊敬するNPO活動の師のおひとりです。その赤塚さんが、晩年体調を崩されたとき、アットプロの活動は脇坂くんが次を引き継いでくれるから安心だ、とおっしゃっていたことを思い出します。
その後、認定NPOの制度改革法案の策定を目指し、内閣府への提出をご一緒したり、当時私が在職していた「シーズ・市民活動を支える制度をつくる会」でNPO向けの認定セミナーを開催した際にサポート役をつとめさせていただいたこともありました。
NPO法人会計基準の策定にあたっては、シーズが協議会の事務局を担うことになり、策定委員会の副委員長を脇坂さんにお願いしました。委員会では、膨大な時間をかけて専門家の皆さまに議論をしていただき、基準の策定を達成することができました。その後のメンテナンスについても、アットプロの皆さまを中心に「みんなで解決!質問掲示板」の回答委員を専門家の方が交代で担当されるなど、多くのNPOを支えておられます。NPOの会計税務について最も詳しい、そしてNPOに対して情熱を傾けておられる専門家のおひとりだと思います。
最近では、認定NPO法の制度は改正され使いやすくなっているにもかかわらず、認定NPO法人が増えないことに課題を感じ、認定NPO法人へのアンケート調査を行い制度改正への提言をまとめようとされていたり、ふるさと納税やクラウドファンディングなどで注目されている寄付の対価性に対する考え方について、内閣府との交渉を重ねておられます。
NPOは市民の自由なボランティア活動がやりやすくなるための仕組みです。その仕組みは、時流の変化、政策の変化にともなってメンテナンスが必要です。それを、丁寧に、情熱と時間を傾けて取り組んでおられる脇坂さん。その思いに私も賛同しており、アットプロの活動を少しでもサポートできることをうれしく思っています。
ソノリテが目指す「やさしいほうの社会」を実現するために、欠かせない存在です。アットプロでは、専門家だけでなくNPO活動をしている方でも参加できる研修などを開催しています。下記のサイトをぜひご覧ください。
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▼ 脇坂さんが理事長をされているNPO会計税務専門家ネットワークのWEBサイトはこちら
▼ 認定NPO法人を増やすプロジェクトはこちら
▼ NPO法人会計基準協議会のWEBはこちら
▼ 脇坂さんのNPO会計道youtube