私が役に立っていると実感できる場所
昨年の9月に台風の被害で多くの家が床上、床下浸水をした常総地域。
その水害被災者支援活動を行っている茨城NPOセンター・コモンズの常総事務所に、
週に1回のペースでお手伝いに行っています。
先週の金曜日、仕事を終えたあと、ボランティアやスタッフの方とおでんを囲む懇親会がありました。
そこで聞いた言葉。「常総のほうが、居心地がいいんだよね、私が役にたっていると実感できるから」
その方は、Sさん。東日本大震災のときから、埼玉県の自宅からボランティアに通ってくださっていたのですが、
今回の水害でも、ほとんど住み込みのような形で常総に入り、最初は家の片づけや移動サービスの
スタッフをしておられましたが、ボイラーの知識があることから、空き家や被災したホテルにボイラーを入れて
市民のみなさんがシャワーが使えるようにするなど、活躍されています。
本業は埼玉県で不動産関係の自営業をされているそうですが、人口は減少するし経済は落ち込むし、
自分が何かをアイディアがあっても、家族も周りの方も賛同してもらいにくい状況が続いていたそうです。
確かにSさんのアイディアは、ちょっと突拍子もないもの。
たとえば、天ぷらカー、天ぷら油をリサイクルして走れる車を自分で改造してしまいます。
東日本のときに、ガソリンがなくて車を走らすことができず、物資が届かなかったり、寒さで
凍死した人がいたことを思い出します。
そのために、いつでも自分で燃料がつくれ車を動かせるようにと考えたそう。
菜の花がいっぱい咲いているこの季節、その油をつかって燃料をつくったり、
食用油をつくったらいい油になるな、とアイディアはいっぱいわいてくるそうです。
常総にきてから、自分の考えがひとつひとつ、役に立っていくことがうれしくてたまらない、と
Sさんはお話されました。
冒頓な、けして饒舌ではない話し方から、Sさんの本音なんだな、とうれしく感じました。
ドラッカーも、「非営利セクターは、市民の責任と市民の誇りを回復するという重大な責任を負っている」
といったそうです。
その存在価値や誇り、ともすればうすれてしまうのが、都市の現象かもしれません。
常総のやっと使えるようになったビジネスホテルの一室で、おでんをかこみながら、
ここにも、神山と同じコミュニティが再生されようとしている、と感じました。
常総地域ではまだまだ復興支援が必要です。ぜひ一度、見に来て見てください。