ふるさと納税は寄付よりも優れているのか?

ふるさと納税の利用者 過去最高を記録

「ふるさと納税」が広く浸透しています。


先日、2023年度のふるさと納税による寄付金額の総額が1兆円を超え、利用した人の数はおよそ1000万人に上り過去最高を記録した、という発表がありました。


「ふるさと納税」とはどういったものなのか改めて調べてみると、もともとは住んでいる自治体へ納める税金を、自分が応援したいと思う自治体へ納めることで、住んでいる自治体へ納める税金が減らせる、という仕組みです。税金を住んでいる自治体から応援したい自治体へ振り替えられるという、仕組みとしては素敵なものだといえると思います。さらに、応援する自治体から返礼品がもらえます。●●牛、とか果物とか。


いまでは、日本人の寄付の手段のうち、ふるさと納税が1位になったのだそうです。たしかに、災害復興への寄付や、地域で活動をしているNPOへの寄付など、寄付金の使途を選べるものもあるし、さらに返礼品がもらえる。そして翌年の税金は還付される(上限がありますが)となれば、多くの人がふるさと納税をしない手はない、と思っているかもしれません。

ふるさと納税が寄付よりも優れている点?


あるとき、電車の中吊り広告に、入学試験の実例として「ふるさと納税が寄付よりも優れている点を論ぜよ」という問題があげられているのを見ました。


私は、「ふるさと納税は寄付より優れていない、そもそもふるさと納税は寄付ではないし。受験生にこういう設問が出されるなんて」と憤りを感じてしまいました。
「ふるさと納税は、住民税や所得税の一部が還付される仕組みで、負担感が少なく寄付ができるため寄付をしやすい。その人にとって税金が安くなるわけではないが、居住している自治体以外でも応援できる自治体を選んで寄付ができる。さらに返礼品ももらえてお得である」みたいなことを優れている、と考えているとしたらとんでもない、と。「ふるさと納税」制度そのものが悪い、というつもりはありません。税金を納める自治体を自分で選べる、地域を応援する一つの形としてのふるさと納税制度は画期的だと思います。でも、返礼品目的で、はたして自分の意思で寄付をしていることになるのでしょうか。

寄付の原則

冷静に考えたときに、何が問題かというと、ふるさと納税について論ずる前に、寄付や市民活動について正しい理解が必要であるのではないか、と思うのです。


ふるさと納税については、返礼品に関する様々な問題も取りざたされています。その地域を支援したいという気持ちよりも、その返礼品である商品を購入するだけだと思って制度を利用している人もいると思います。寄付金に対しての返礼品の割合、返礼品を送るために業者への外注費が増えている問題、様々な指摘もあります。それも問題かもしれません。しかし、「寄付」ということに軸足を置いて考えたときに、もっとも注意するべき点は、「寄付とは反対給付がないこと」という原則から大きく外れた制度であるということです。


もちろん、ふるさと納税をしちゃいけないというつもりは全くありません。ふるさと納税は、税金を自らの意思で支援をしたい地域に納める、という点では画期的な制度です。
私自身、今年も徳島県神山町、茨城県笠間市、愛媛県今治市などへふるさと納税をして、その地域のNPOなどを応援したいと思っています。
ただし、我々が目指している寄付のマーケットを広げていく、寄付の文化を醸成させる、という点においては、けして優れた手段だとは言えない、と私は思っています。皆さんはどう考えますか?

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