地域社会とは

地域社会とは

私が大学でNPOの研究をしていたところ、教育社会学を専攻していました。
つまり、学校以外に、私たちの社会はどのような教育的な役割を果たせるのか、
ということが私のテーマでした。
ここでいう学校や教育というのは、義務教育に限りません。

でも、教育社会学の中で最初にぶつかった壁が「地域社会」でした。
当時、私の指導をしてくれていた先生は、「地域社会」とは、「地縁社会」である、
と考えているようでした。
つまり、親子、家族、から始まって町内会や子ども会、学校単位でのPTA、
住んでいる行政区内に限定し市民の暮らしはどうあるべきか、
というテーマで考えられていました。
ちょうど、生涯学習がはやり始めたころでした。

しかし、私の中ではどうしても納得ができません。
市民活動がこれから活発になるから、町内会活動がもっと注目される、
町内会活動をしないことは悪だ、みたいな。
そうなの??

当時、議員立法で成立したばかりの特定非営利活動促進法(NPO法)は、
前にも紹介したとおり、「ボランティア活動をはじめとする市民が行う
自由な社会貢献活動」とあります。
もっと自由で、グローバルな活動をイメージしました。

その時に出会った、茨城大学の帯刀(たてわき)教授に私の疑問を
ぶつけてみたところ「地域社会」の地域とは、町内会や行政区に限らない。
一番小さい社会は、家族であり、一番大きな社会は地球である、
と教えていただきました。

まさに、私が考えていたとおりのことを、学術的に、理論的に指導して
いただき、自分のゼミにきて勉強しなさい、と言っていただきました。
同じ大学教授でも、同じ社会学の先生でも、これほどまでに違うのだ、
という驚きと同時に、帯刀先生やゼミ生の皆さんに助けられ
今日の私があります。

Think Glovally, Act Locally

帯刀先生の論説をご紹介します。
ぜひ、じっくり読んでみてください。

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「地域」の一番簡単な定義は、地球上の表面を温度で区分した「熱帯・温帯・寒帯」
という空間。より一般的には「国家」の単位として区分された空間で、それは「世界地図」
とか「地球儀」で確認される。
さらに、それを地方行政の管理区域として、州だとか、都道府県、市区町村等に分けて、
そして、そうした行政管理区域を小学校の通学区等のいわゆるコミュニティ(Community)
に細分化し、「向こう三軒両隣」という近隣住区までを地域社会とする。

ただ、この地域社会という用語は、社会の定義が簡単ではないので、結構難しいのだが、
例えば「隣」といっても、近所・隣人・近隣というように、人と所とその関連(関係)
を分けて3つの用語がある位いだから一筋縄ではいかないし、日本では昔から、
その地域社会の最小単位でも、例えば「村八分(むらはちぶ)」といって、
火事と葬儀の「二分」は付き合うが、それ以外は一切交際しない!
といった近隣関係が存在したから、そうしたケースの場合は、地域社会の最小単位として
近隣住区とはならない―ということになる。

こんな昔話しばかりではと思う若者には、国家の単位内での区域だけでなく、
東南アジアとか北アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパ、アフリカとのグローバルな
国際交流なんかについても、既にそんな活動を展開している〝Volunteer Groups〟
(ヴォランティア・グループ)や〝Community〟(コミュニティ)も沢山あって、
高校生たちの行き来が盛んに進められている現況を伝えてあげた方が良いかもしれない。

特に今度の2011.3.11の東日本大震災・津波、液状化被災地、東電福島第一原発の
放射性物質流出・飛散事故地域での支援活動等において海外からの高校生・大学生等の
グループ活動は、被災地・被災者から大変な評価を獲得して派遣地域の学校・大学の長期休業期に、
毎年一定のVolunteer 生が交流活動を推進していることなど、今少し承知しておくべきでは?
と思うが、どうだろうか。

株式会社ソノリテ 会長 帯刀 治