ファシリテーションが会議・組織・社会を変える!~第7回・会議における「土俵のつくりかた」を極める!(その1)
いよいよ、会議の当日となりました。まずは、話しあいの土俵をしっかりと固めること、すなわち「会議の場づくり」からスタートしましょう。
一口に「土俵づくり」「場づくり」といっても、物理的な「場」だけが対象ではありません。ここでは「空間設計」「時間設計」「役割設計」「関係設計」の4つを視野に収めて考えていきたいと思います。
▼まずはホワイトボードなどの「可視化ツール」を!
場づくりの第一歩は、「空間設計」です。ここでは、座席配置と準備物がキモとなります。
まず座席配置ですが、「机・椅子が可動式」であることが大前提です。ごくまれにですが、公共の施設で会議室を借りると、「重役会議ですか?」というような部屋に遭遇することがあります。やたらに大きくて重厚な楕円形のテーブル、ふかふかの椅子。これは最悪ですね。やはり、人数や用途に応じてレイアウトを自由に変更できる「長机+椅子」がベストです。
その上で、レイアウトを考えるわけですが、私自身は、下の図表のようなレイアウトを好んで用いています。要は、あまり形式ばることなく、またお互いにあまり距離を感じないように配置されていればOKです。
さらに準備物ですが、何はなくとも、ホワイトボードや模造紙のように、いわゆる「板書」ができるツールは必携です。さらに、議案書(議事録)が投影できるプロジェクタとスクリーンがあればベストです。
なぜ、これらが必要なのか? 詳しくは「役割設計」の項で説明しますが、話しあいを目で見える状態にすること、いわゆる「可視化」「見える化」することが、非常に重要なのです。ホワイトボードがあれば、必ず使いましょう。なければ、模造紙を壁に貼って水性マーカーで板書していけばよいのです(ホワイトボードは書きこみで一杯になったら消すしかありませんが、模造紙は2枚め、3枚め……と貼り足していけばよいので、実は模造紙の方が使い勝手がよかったりします)。模造紙もない? じゃあ、カレンダーの裏でもいいじゃないですか。少人数ならば、テーブルの上に少し大きめの紙を広げて、水性マーカーやサインペンで書きながら進めてもOKですし、ともかく、話しあいを「見える」状態にするのです。ほんの一手間で、話しあいの質が目に見えて変わりますよ!(つづく)
徳田 太郎(とくだ・たろう) 株式会社ソノリテ パートナー・コンサルタント
1972年、茨城県生まれ。修士(公共政策学)。
2003年にファシリテーターとして独立、地域づくりや市民活動、医療や福祉などの領域を中心に活動を続ける。
NPO法人日本ファシリテーション協会では事務局長、会長、災害復興支援室長を経て現在はフェロー。その他、茨城NPOセンター・コモンズ理事、ウニベルシタスつくば代表幹事などを歴任。
現在、法政大学大学院・法政大学兼任講師、東邦大学・文京学院大学非常勤講師、Be-Nature Schoolファシリテーション講座講師などを務める。
主な著書に『ソーシャル・ファシリテーション:「ともに社会をつくる関係」を育む技法』(鈴木まり子との共著、北樹出版、2021年)。
*本ブログは、『ファシリテーションが会議・組織・社会を変える』(茨城NPOセンター・コモンズ、2013年)に加筆修正を行ったものです。