ファシリテーションが会議・組織・社会を変える!~第3回・「会議の事前準備」を極める!(その1)

それではさっそく、会議(ここからは「理事会」を例に挙げて見ていきます)の事前準備について考えていきましょう。

事前準備で重要なポイントは、次の4点です。

・年間の日程の組み立て

・各回の会議の組み立て

・個々の議案の組み立て

・議案書作成と事前配布

▼日程はイベント等と組みあわせて一石二鳥を狙う!

事前準備の1つめのポイントは、「年間の日程の組み立て」です。

NPOの規模や、理事会の考え方にもよりますが、多くの組織では、1~3ヵ月に1回のペースで理事会を開催していると思います。つまり、多いところでも年に12回、少ないところでは年に4回くらいしか、そのNPOの主要メンバーが顔を合わせる機会はないのです。その数少ないチャンスを最大限に活かし、メンバーのモチベーションを高めつつ事業を着実に回していくためには、「いつ、何について話しあうのか」をしっかりとイメージしておく必要があるといえるでしょう。

たとえば、5月に総会を開催するNPOであれば、1月には本年度の事業報告案と次年度の事業方針案を検討し、2月にはそれらを確定するとともに予算案を検討し、3月には予算案と役員候補者を確定し、4月には決算書のチェックも含めて総会資料を確定する……といったスケジュールが考えられるでしょう。ビジョンやミッション、中期計画を改定しようとする場合には、事業方針案の検討以前にそれらを確定させなければなりませんので、さらに早い時期に着手しなければなりません。

内容についてイメージできたら、次は日程の確保です。NPOの役員をされているような方は、本業のお仕事や他の団体での活動など、おおむね他にもいろいろな「顔」を持っていることが多いものです。端的にいえば「忙しい」。ですから、早めに日程を確保しておかないと、当日の出席率に響いてしまいます。できれば、「毎月第2日曜日」「毎月第4土曜日」などのように定例化し、毎年スケジュール帳に真っ先に書きこんでもらえるようにしてしまった方がよいでしょう。

その際、「他のイベントと組み合わせる」という小ワザもあります。自分たちが主催しているイベントなのに、理事がほとんど参加していない……などという経験はありませんか? たとえば、同じ日の午前中に理事会を開催し、午後からイベントを開催するなどのスケジューリングを行えば、両方の参加率が高まるという相乗効果が期待できるかもしれません。このあたりも、年間を俯瞰する広い視野で、上手に組み立てていきましょう。(つづく)



徳田 太郎(とくだ・たろう) 株式会社ソノリテ パートナー・コンサルタント

1972年、茨城県生まれ。修士(公共政策学)。

2003年にファシリテーターとして独立、地域づくりや市民活動、医療や福祉などの領域を中心に活動を続ける。

NPO法人日本ファシリテーション協会では事務局長、会長、災害復興支援室長を経て現在はフェロー。その他、茨城NPOセンター・コモンズ理事、ウニベルシタスつくば代表幹事などを歴任。

現在、法政大学大学院・法政大学兼任講師、東邦大学・文京学院大学非常勤講師、Be-Nature Schoolファシリテーション講座講師などを務める。

主な著書に『ソーシャル・ファシリテーション:「ともに社会をつくる関係」を育む技法』(鈴木まり子との共著、北樹出版、2021年)。

*本ブログは、『ファシリテーションが会議・組織・社会を変える』(茨城NPOセンター・コモンズ、2013年)に加筆修正を行ったものです。