ファシリテーションが会議・組織・社会を変える!~第23回・「会議の事後管理」を極める!(その2)
▼確実な実行のために、「進捗チェック係」を置く!
もう一つは「進捗状況の管理」です。先に、「全会員が進捗を見守る」と述べましたが、実際には、オフィシャルな「進捗チェック係」を設けるべきでしょう。
「誰が、何を、いつまでに」を決めていても、実際には、それぞれ多方面で活躍している理事の皆さんです。さまざまな事情から、着手が遅れたり、場合によっては失念してしまったりすることもあるでしょう。しかし、そのままになってしまっては、「その次のステップ」に大きな支障となってしまいます。さらに、「決まったことが実行に移されない」ことが常態化してしまうと、そもそも「話しあうこと」自体がバカバカしくなってしまいます。それでは、元の木阿弥ですよね。ですから、会議の最後に行動計画を定めると同時に、その進捗を確認するチェック係も決めておくべきなのです。
チェック係は、担当者からの作業結果(経過)報告がなされないような場合に、本人に進捗状況の確認を行います。遅れているようであれば励まし、何らかの問題が発生しているようであれば、解決策をともに考えたり、他のメンバーに応援を求めたりします。いわば、担当者と二人三脚で業務遂行へと歩んでいくのです。
一人ひとりが、「決定」や「行動」に対して、しっかりと責任をもつ。しかし、決して「一人で抱え込まない」。チェック係は、そのような状態をつくるための「要」です。単なる管理・監督者ではありません。
なお、チェック係は、通常は決定事項に最終的な責任を負うことになる理事長が担うのがよいでしょう。しかしその場合も、「暗黙の了解」とするのではなく、毎回しっかりと確認を行うべきです。
いかがでしょうか? 「会議」を変えるきっかけはつかめましたでしょうか?
ここからは、この「会議を変える技術」をもう少し広い視野で捉え、「組織」を、そして「社会」を変えていくための仕組みと仕掛けを考えてみたいと思います。(つづく)
徳田 太郎(とくだ・たろう) 株式会社ソノリテ パートナー・コンサルタント
1972年、茨城県生まれ。修士(公共政策学)。
2003年にファシリテーターとして独立、地域づくりや市民活動、医療や福祉などの領域を中心に活動を続ける。
NPO法人日本ファシリテーション協会では事務局長、会長、災害復興支援室長を経て現在はフェロー。その他、茨城NPOセンター・コモンズ理事、ウニベルシタスつくば代表幹事などを歴任。
現在、法政大学大学院・法政大学兼任講師、東邦大学・文京学院大学非常勤講師、Be-Nature Schoolファシリテーション講座講師などを務める。
主な著書に『ソーシャル・ファシリテーション:「ともに社会をつくる関係」を育む技法』(鈴木まり子との共著、北樹出版、2021年)。
*本ブログは、『ファシリテーションが会議・組織・社会を変える』(茨城NPOセンター・コモンズ、2013年)に加筆修正を行ったものです。